マイナンバーカードは利権の宝庫

2023. 7.1

朝邉博史

マイナンバーカードと健康保険証の統合は、すべての世代で60%以上の人が反対している。そもそも政府は、「マイナンバーカードを取得しない人にも、何らかの健康保険証に相当する制度は維持する」と明言してきた。それが、いきなり「来年の秋に健康保険証を廃止して、マイナンバーカードに統合する法律が成立した」と発表した。

マイナンバーカードは、様々なところで問題が発生しているが、税・所得・預金・雇用保険等29項目の紐づけを予定しているという。すべての国民の根幹情報を掌握して、丸裸にする法律である。

民主主義国家では、様々な自由が保障されているが、その根幹には経済的独立があってこそ実現できる自由が多くある。このマイナンバーカードは、この経済的独立を脅かし、国民の自由を制限する可能性がある制度である。

ひとたび情報漏洩があれば、プライバシーの侵害は取り返しのつかないものであり、この制度をコントロールするセンターは、国民の根幹情報を掌握して、脅しで、個人を動かすことが出来てしまう。

このような危険極まりない制度を進める原動力はなんであるか。それは、この制度が利権の宝庫であるからである。多くの役人が天下りをして様々なコントロールをしようと考えてもおかしくない。

表向きは、デジタル庁、厚労省が進めているように見えるが、背後では財務省が道筋を決めている。税金をもれなく徴収しようとする大儀のもと、国民の根幹情報をすべて掌握して、国民を管理する制度である。

土地・建物は持っているだけで固定資産税という税金がかけられているが、預金等の金融資産にも、持っているだけで税金を課する制度の前段階であると思えて仕方がない。最初は、桁違いの預金保有者が対象となり、多くの国民は安心するかもしれないが、徐々に金額を下げていくと思われる。1200兆円を超える国の借金を返済するには、これぐらいの荒療治が必要と財務省は考えても不思議ではない。

今は、国民の自由が制限されていく端緒である。どうか、事の本質を見抜いて欲しい。