円安の弊害と対策(その2)

2021.04.01

朝邉博史

前の安倍政権は、円安誘導して、海外の人が日本で買い物をしやすくして、観光立国を目指す政策を実行しました。実力以上に安い円の効果で、高品質な製品が、世界のどこよりも安く買えるということで、海外からの観光客は急激に増加しました。販売店は、潤ったが、日本国民は、どこか釈然としない気持ちを持ちました。

また、円安は、輸出企業の国際競争力を高めるといわれますが、それは反面、国民の富、国民の財産を、世界から見たとき、相対的に減少させるものであります。

円安で輸出企業が販売しやすく、観光客が増加して落としていくマネーの、比較にならないほどの国富を失っているのです。何千兆円の国民の財産が目減りし、日本の国土の価値(不動産価格)が目減りしているのです。

円高になれば、国民の富は相対的に増加し、世界で通用する財産増となります。海外から日本の土地も買われにくくなります。反面、日本人は世界中の不動産が買いやすくなります。

望ましいのは、緩やかに円高が進み、国富が増加しながら、日本国民は自助努力の精神で、また日本企業は創意工夫で付加価値を増しながら、国際競争力を維持していく道であると考えます。そして、強い円を背景に、海外に進出して、日本の素晴らしさを世界に伝えていく道が日本の発展している姿です

発展途上国が自国の通貨安で世界に製品を販売拡大していく姿は、その発展途上であるから通用する政策です。

また、イタリアのように何千年の歴史遺産があり、自国に企業が少ないところでは、観光立国として国の政策を進めるのは理に適っています。

しかし、日本のように加工貿易と国民の勤勉性で、世界のトップクラスにまで発展した国が、円安誘導をとるような政策とリーダーは、国民の富を減少させ、国を衰退させていくものであると考えます。