売国奴的な関税対策

2025. 7.26

朝邉博史

7月20日の参議院選挙で大敗した石破政権は、続投を表明し、二日後にはアメリカとの関税協議がまとまったことに胸を張った。自動車関税が15%になり、その背後で「日本はトランプ大統領の指示のもと、アメリカに5500億ドルを投資し、その利益の90%をアメリカが受け取るだろう。この合意は数十万人の雇用を創出するだろう。これはかつてない規模のものだ。」ということがついている。

日本の国家予算にも近いような金額を日本は支出し、元本の保証もないような投資という名目で、利益が上がれば、90%をアメリカが得、日本は10%しか得られない、という。自動車関税の陰に隠れた、売国奴的な取引内容ではないか。

自動車関税が仮に25%課されたとしても、自動車産業の利益の減少は、せいぜい数兆円規模と思われるが、80兆円という桁違いの負担をする取引内容ではないか。石破総理は理解できないから、胸を張って、関税協議がまとまったことを誇りに思っているとしたら、日本の総理大臣としての資質に欠けているのではないか。

石破総理は、「消費税の減税は富裕層を利する。」と発言し、大学の教授から論理が逆であると批判されていたが、誰でもわかることではないか。三度の選挙で大敗し、「政治空白を作ることは許されないので続投する。」との発言は、まさに歴代の総理が積み上げてきた責任の取り方すら知らないというのであろうか。日本国、日本国民のために、普通の常識が理解できる総理大臣の誕生を期待する。