AIの開発競争に欠けている視点
2023.04.10
朝邉博史
AIの開発競争をめぐる議論が喧しい。イーロン・マスク氏を含む1000人以上の人工知能(AI)分野のエキスパートが「AI開発の一時停止」を先週提案した。これに対し、ビルゲイツ氏は、特定のグループに開発の一時停止を求めることは、この分野の課題を解決することにはならないとした。その代わりに、人々がこの分野の進歩をうまく利用することや、課題となる分野を特定することに注力すべきだと提案した。
どちらもAIの開発競争と進化が、制御不能となる恐怖から発しているように思われる。
本来、AIは人に、人類に奉仕するための存在である。誰もAIに支配される未来社会の到来を望んでいるとは思えない。
AIの開発競争に欠けている視点は、人の進化である。もっと率直に言うと、魂の進化である。人類に奉仕する愛深き人が、自己のための利益を最優先する人より劣っているとは思えない。後者の人が先導して究極のAIを開発するならば、AIを使った独裁国家が出現する。
人の進化に貢献する、人類の進化と発展に奉仕するAIの開発競争を進めていただきたい。