ウクライナ問題の国際正義

2022.03.19

朝邉博史

ロシア・ウクライナ紛争で、被害にあわれた方、亡くなられた方にお見舞いとお悔やみを申し上げます。

世界のマスコミも日本のマスコミもウクライナに同情し、ロシアへの非難、攻撃一色である。この問題の本質は、どこにあるのか。EUが経済的、政治的同盟であるのに対し、NATOは軍事同盟である。

NATOが1949年に発足し、ソ連、ロシアとの関係の経緯を見ると、1990年10月、東西ドイツが統一され、コール氏が統一ドイツの首相の時に、NATOの事務総長は、ドイツ人のマンフレート・ヴェルナー氏でした。ソ連に統一ドイツとして認めてもらうときに、同氏は、「NATOは東ドイツから1ミリたりとも東側に拡大することはありません」と約束している。その後、ソ連が解体、崩壊して各共和国が独立していくときに、ソ連のゴルバチョフ大統領とアメリカのレーガン大統領は、「NATOをこれ以上拡大させることはない」と約束している。

その後、周知のとおり、東欧の各国が次々とNATOに加盟し、ソ連から独立した各国もNATOに加盟してきた。ウクライナがNATOに加盟し、モスクワに向けてミサイルを配備した時に、ロシアは防衛ができなくなる。アメリカのケネディ大統領の時のキューバ危機と同じことが起きるのである。

ウクライナへの侵攻前に、ロシアのプーチン大統領は、ロシア国民の生命・安全・財産を守るために、ウクライナのNATO非加盟のみを求めていたのである。それを実行し、保証できるのは、NATOの雄であり、世界一の軍事大国アメリカのみである。バイデン大統領はそれを否決したのである。起きなくてもよかった戦争である。国際正義はどこにあるか、考えて頂きたい。